【実習対策】現役看護師が教える!COPDのアセスメントと看護計画 事例を用いて解説!

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皆さんこんにちは!現役看護師のうみです!本日はCOPD患者のアセスメントや看護計画について学びたいと考えている看護学生の皆さんへCOPDに関する基礎知識から、情報収集の方法、アセスメントの方法、さらに具体的な看護計画を事例を用いて分かりやすく解説します。この記事を読むことで、実習や臨床の現場で役立つ知識を習得できます!


COPDの基礎知識

COPDとは?

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、長期間にわたるタバコ煙などの吸入によって肺が炎症を起こす疾患。進行性の気流閉塞を示し、肺実質の破壊(=肺気腫病変)細気管支炎(=末梢気管支病変)の2つが合わさって様々な症状が現れる疾患です。COPDは男性に多く発症し70歳以上の高齢者に多い疾患です。

疾患の進行と重症度分類

COPDの診断にはスパイロメトリーという危機を用いて呼吸機能検査を行います。GOLD分類を用いて、病状の進行度を評価します。例えば、肺活量や症状スコアを基に軽症から重症までの段階が分かります。息が吐きにくくなる疾患なので1秒量(FEV₁)(=息を勢いよく吐き出した時の最初の1秒で吐き出せる空気量のこと。)と1秒率(FEV₁/FVC)(=息を勢いよく吐き出した時に最初の1秒で吐き出せた肺活量に対する空気の割合)が低下します

COPDの病期分類

病期
1期2期3期4期
軽度の気流閉塞中程度の気流閉塞高度の気流閉塞きわめて高度の気道閉塞
定義%FEV₁≧80%50%≦%FEV₁
<80%
30%≦%FEV₁
<50%
%FEV₁<30%

COPDの病態

  • 気流閉塞(息が吐きだせない)と動的過膨張(十分に息を吐きだせないので肺が膨らんだままになり、息も吸えなくなる)が原因となり、労作時の呼吸困難を生じる
  • 気道粘液の過分泌が原因となり、咳嗽や喀痰が生じる
  • 換気血流不均衡(肺胞換気量と肺胞血流比の均衡が崩れている状態)が原因となり低酸素血症が起こる
  • 重症のCOPD患者では肺胞低換気が原因で高二酸化炭素血症を呈する
  • COPDでは早期から肺血管病変があるので、気流閉塞や低酸素血症が進行すると肺高血圧症をおこし、肺性心(=右心不全)も合併する

情報収集とアセスメントのポイント

まずは既往歴と経過をカルテから探す

  • 既往歴:喘息などの有無
  • COPDの治療状況:服薬(内服、吸入、点滴)、疾患に対する理解・向き合い方、酸素投与の有無
  • 喫煙歴:ブリンクマン指数400以上で肺がん発生率が非喫煙者より5倍高まるとされる          →ブリンクマン指数=1日の喫煙本数×喫煙年数
  • 職業歴、生活習慣、家族背景(聞き取りされていないこともあるので本人から聞く!)

呼吸器症状を観察

  • 呼吸状態:呼吸数、深さ、パターン、呼吸音、喘鳴、口すぼめ呼吸の有無、呼吸困難感(修正ボルグスケール)、労作時の息切れの程度(ヒュージョーンズ分類)
  • 呼吸音の聴診: ラ音や延長呼気の有無。
  • 咳嗽、喀痰の量、性状
  • チアノーゼの有無、ばち指
  • 努力性呼吸の有無:胸鎖乳突筋の使用など呼吸補助筋の使用の有無、肥大

全身状態と合併症も見落とさない!

  • 感染兆候の有無
  • 心不全兆候の有無:右心不全、肺性心、浮腫、尿量
  • CO2ナルコーシス兆候の有無:頭痛、傾眠、意識状態
  • 骨粗鬆症、筋力低下
  • 貧血症状
  • 抑うつ、睡眠障害
  • 全身倦怠感、便秘
  • 発熱

生活、活動・休息も情報収集

  • 入院前のADL、排泄、入浴、買い物中の息切れ
  • 日中の活動状況
  • 生活習慣
  • 自宅の間取りと生活導線
  • 運動習慣の有無
  • 仕事、趣味、社会的活動(町内会活動やボランティア活動など)
  • 現在の家族構成と生活状況(独居、高齢者世帯など)

栄養状態は見落としがち

  • 身長、体重、BMI
  • 栄養障害の評価(一か月で5%以上、3か月で7.5%以上の体重減少)
  • 食生活:1日の食事量、回数、内容、嗜好、アレルギーの有無
  • 口腔内状況(ステロイド治療により口腔カンジダなどが発生しやすい)、歯の有無
  • 水分摂取量

自己管理能力、在宅療養に向けてのサポート状況

  • 疾患に対する理解
  • 療養生活に対する思い
  • 認知機能(MMSEなどで評価)
  • キーパーソン
  • 介護保険の申請状況
  • 家族のCOPDやHOTに対する理解度

看護計画の立案

看護問題の抽出

  • #1.労作時の呼吸苦に関連した活動耐性低下。                              →労作時の強い呼吸苦から日常生活動作を最小限にとどめようとし活動性が低下しさらに筋力低下が起こり廃用症候群を発症するリスクが高い。

  • #2.気道分泌物増加に関連した非効果的気道浄化                               →COPDでは増悪時に気道分泌物の増加がみられるため立案

  • #3.HOT導入に関連した不安                                           →HOT導入に伴い、これまでとの生活とは違い酸素デバイスを持ち歩く状態になってしまうため趣味や買い物などができなくなることや、手技に不安を感じることがあるため立案

  • #4.栄養摂取と消費バランスの不均衡に関連した低栄養状態(orリスク状態)                         →COPDでは食事時の呼吸困難感からの食事摂取量減少、全身性炎症による代謝亢進によりエネルギー消費量の増大などにより低栄養状態に陥りやすいため栄養指導、食事調整が必要なため立案。

具体的な看護計画を立案

#1.労作時の呼吸苦に関連した活動耐性低下。
【O-P】

(1)呼吸状態

  1. バイタルサイン
  2. 呼吸困難感の有無、程度
  3. 呼吸音聴取
  4. 咳嗽、痰の有無・性状
  5. 喘鳴の有無
  6. チアノーゼ

(2) 低酸素血症の症状

  1. 頻呼吸
  2. 頻脈、不正脈
  3. 呼吸困難感
  4. 見当識障害、意識障害

(3)活動状況

  1. 1日の歩数(病棟何周歩いたか、どこまで歩いたかなど)
  2. 6分間歩行試験(リハビリ記録に記載がある。なければ実施予定あるか確認)
  3. ADLの状態
  4. 運動機能の状態

(4)活動に対する患者の思い

  1. 趣味や毎日やっていたことはあるか
  2. 退院後に実施したい活動(園芸や旅行)
  3. 動きたくない理由(だるさ、息苦しさなど)

(5)睡眠状況

  1. 日中の過ごし方
  2. 睡眠状況
  3. 睡眠薬の使用状況

【T-P】

(1)活動状況に見合った援助の実施

  1. 移動動作への援助
  2. 清潔動作の援助
  3. 排泄動作への援助
  4. 食事動作への援助

(2)運動療法

  1. 筋力トレーニング
  2. 持久力トレーニング
  3. 柔軟性トレーニング

(3)活動と休息のバランスを調整する

  1. 体調に合わせて休息をとる
  2. 十分な睡眠時間を確保する

(4)気分転換をおこなうことができるよう援助する

  1. 体調に応じて散歩を行う
  2. 患者の趣味を取り入れて気分転換を図る
【E-P】

(1)安楽な体位の指導を行う

  1. 座位、半座位になることで横隔膜を下げ胸腹部を広げる
  2. 安楽枕を用いて上体を支える
  3. 患者自身が安楽に感じる体勢を確認

(2)安楽な呼吸法を指導

  1. 口すぼめ呼吸を指導
  2. 効果的な排痰方法(ハッフィング)を指導

(3)感染症予防のための方法を指導

  1. 手洗い指導
  2. 園芸をする際は手袋を使用するように指導


実習で役立つポイント

効率的なアセスメントのコツ

実習中は、観察項目をリスト化して効率よく情報収集を行いましょう。

またノートに情報収集する項目についてリストを作り、情報が漏れないようにしましょう。指導者によっては患者さんのみえるところでメモをしないように指導されることもありますが、私はひとこと「すみません、メモを取ってもいいですか」と声をかければメモを取ってもいいとおもいます。だだし一言一句メモすると事情聴取になってしまうので注意してくださいね!


おわりに

COPD患者への看護は、呼吸管理や心理的支援が重要です。この記事で学んだ内容を活かし、実習や臨床現場でのアセスメントや看護計画に自信を持って取り組んでください!

それでは次の記事で会いましょう!実習頑張ってくださいね♪


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